

3月18日、来週早々にでも桜の開花のニュースが聞かれるだろう、そんな桜の季節にシャンパーニュ地方を代表するといっても過言ではない、シャンパーニュメゾンの「ドンペリニヨン」より、醸造家ヴァンサン・シャプロン氏が来日。ドンペリニヨン・ロゼ2004年ヴィンテージを試飲しながらロゼ色の季節の喜びを分かち合った。
当日は、昼間であったが、暗転の会場にピンクゴールドの薄明かりだけが差し込む空間でドンペリニヨン・ロゼ2004年を堪能した。
春真っ盛りの晴天の昼間にこのような場所での試飲は、あたかもドンペリニヨン・ロゼの持つ世界観の一つ、「パラドックス」の世界を表現しているかのようだった。そもそもドンペリニヨンがもつパラドックスは、生き生きとした酸と芳醇な果実味をたたえるシャルドネの個性と、ストラクチャーがしっかりとして、複雑味を備えたピノ・ノワールを、境界線を極めるような絶妙のブレンドによってお互いの個性をなくすことなく渾然一体に仕上げる世界観。そこには香りや味わいのフレッシュ感に対して相反する深みや複雑性も感じる。さらに生き生きとした酸味に対して熟成感や深みを感じる。というようなパラドックス的存在感がある。
2004年のピノ・ノワールの生育は素晴らしい年で、アイ村のピノノワールを中心に、ドンペリニヨンの聖地であるオーヴィレール修道院の前の10haの中から南斜面のものだけを厳選、さらにブジィ村のこちらも南斜面のものだけを見極めて、28%の割合でブレンドされたという。この比率は非常に高いブレンド比率であるという。11年のも熟成を経たドンペリニヨン・ロゼはクリーミーでありながら芯のあるテクスチャーをもち、ピノ・ノワールからくるほろ苦さと甘味、さらに豊富な酸、ミネラルとヨードを感じる素晴らしいシャンパーニュだった。
シャプロン氏はフランスの銘醸産地の一つであるポムロールの出身で、モンペリエで醸造学を学んだ。特にメルロー種の赤ワインで有名なこの土地に生まれ、赤ワインのテクスチャーを大切にするオリジンが、いまのロゼ・シャンパーニュを作る上でとても役に立っているという。
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